作品について
作者:沖田×華
掲載誌:Kiss PLUS → ハツキス
書籍:KC Kiss(全9巻)
NHKにて連続TVドラマ化しています。(2018/7/20-9/21)
1~9巻あらすじ
看護師志望だった作者が、高校生時代に、産婦人科で看護師見習いのバイトをしていた頃の実体験を描いた漫画。様々な事情をもつ患者が登場。人工妊娠中絶についての話からはじまり、おそらく題名の由来にもなっている。
感想・ネタバレ
1~9巻までずっと目が離せない内容でした。
とにかく内容の濃いことに驚きました。
作者の沖田さんが発達障害を持っているのですが、3万人に1人という映像記憶能力(出来事を映像で一瞬に記憶する)も持っているそうです。だから、当時の記憶力が鮮明に描かれています。
おそらく、訳ありの方や事件を引き寄せる体質なのではないかと感じました。漫画家は天職なのではないでしょうか。
以下はネタバレを含みます
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今回は、
- 急いで妊娠したがる女子高生×二人目不妊に悩む女性
- コロナ禍でDVを受け、職も失った女性
- 作者の血がつながらない義理の娘
- 中学生と乳児の、姉弟ネグレクト事件
- 親から虐待を受けた友人の、援助交際と摂食障害
- 親に愛されなかった友人
- 作者自身の生看護師を目指した頃の苦労
など関わるお話が描かれていました。
特に、ネグレクトの話が衝撃的でした。
中学生の女の子が「弟がご飯をたべなくなった」と乳児を病院に連れてくる所からはじまります。普通のネグレクト事件と思いきや、思いもしない展開があります。ある事件とつながるのですが、もし犯人と同じ立場だったら…と想像すると、同じことをするかもしれないと思いました。人は追い詰められると冷静な判断が出来なくなりますから…。
作者が正看護師の国家試験の勉強をしていた頃、親から勘当されて、車中泊をしながら勉強をしたというエピソードもありました。そうまでしてなった正看護師の仕事も、作者の発達障害のせいでうまくいかず、漫画家へなられたそうです。その普通じゃない苦労があったからこそ、「透明なゆりかご」のような大ヒット作が生まれたのですね。その苦労は無駄じゃなかったということも書いてありました。
命とはなにか?と難しいテーマの作品でしたが、こうならなきゃだめだよー!という押しつけのようなものはなく、ただ、そのままでいいんだよと教えてくれているような作品でした。
まだ、「お別れホスピタル」の方は連載続いています。回復が見込めない患者が入る終末期病棟で働いていた経験を元に描かれた作品です。高齢化社会の問題をクローズアップしています。こちらも楽しみです。現在6巻まで出ています。
とうとう終わっちゃいましたね…。
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