矢沢あいさんの全単行本を、刊行された順にまとめました。
ネタバレが嫌いな方のために、ネタバレ無しバージョンもあります。
全く同じ作品を紹介しています。
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こちらは天使なんかじゃないの新装再編版です。表紙が描き下ろしされています。↓
それでは、刊行された順にご紹介します。
15年目
- 1986.7刊行
- 全1巻完結済
【収録作品】:初出
- 15年目:りぼんオリジナル1985.夏の号
- あの夏:りぼん1985.早春の号
- ガラスの宝石:りぼん1985.冬の号
- 雪の日からはじまる:りぼん1986.早春の号
矢沢あいさん初となる単行本が「15年目」です。
「15年目」は、幼馴染の女子2人が同じ人を好きになってしまうお話です。告白されてしまった千里が、玲子を大事に思うあまり返事が出来ずに、結局こじれてしまうのはじれったく、切なく、良いお話です。
「雪の日からはじまる」個人的に好きな設定です。お調子者の泉、卓也は、友人としていつもふざけ合うコンビでした。どんどん、距離が縮まったところで事件が起こります。卓也がノリで、写真を隠し撮りしたりしていた、手が届かない存在と思われたマドンナが、卓也を好きだと言い出します…。
他2作品も、新人とは思えないくらい洗練されています。
ラブレター
- 1987.6刊行
- 全1巻完結済
【収録作品】:初出
- ラブレター:りぼん1986.12~1987.2
- あの海まで60分:りぼんオリジナル1986.秋の号
「ラブレター」は、先生に恋する中学生ひとみが主人公です。ひとみに思いを寄せる、仲良しの同級生男子がまた、素直になれないために誤解されやすく、切ない役回りをしています。厳しく、嫌われている年配の女性先生を巻き込んでの事件が起こったり…。生徒の純粋な気持ちを踏みにじるような、こんな意地悪をする先生はもう、令和には居ないでしょう。個人的にこういった時代を感じるところに、グッときます。
「あの海まで60分」は、幼馴染で、兄的存在、誠に思いをよせる淳子が主人公です。何も気づいていない誠から、男子を紹介されてしまい…というお話です。
風になれ!
- 1988.6刊行
- 全1巻完結済
- 【初出】りぼん1987.10~1988.2
先輩に、ほぼ無理矢理、陸上部へ引き抜かれることになった、由紀が主人公です。引き抜きをした秀樹先輩に惹かれていくのですが、秀樹先輩にはマネージャーの実恵という美しい彼女がいるようで…。
同じく陸上部で親友の真弓・真弓の好きな人、カツオを交えての、友情と恋愛がこじれる三角関係がまた、みどころです。さらに、それだけでなく、秀樹先輩が病気を抱えながらスプリンターとして走り続ける姿、秀樹先輩からのプレッシャーにつぶされそうになりながらもスプリンターとして成長していく由紀の姿など、スポーツに打ち込む美しい姿にも胸が打たれます。
バラードまでそばにいて
- 1989.6第1巻刊行
- 全2巻完結済
- 【初出】りぼん1988.7~12
【同時収録作品名】:初出
- ふたりのシーサイドパーク:1989.りぼんオリジナル早春の号(前編(1巻))
- 5月の約束:りぼん1989.5(後編(2巻))
主人公は、中学生の広美です。同級生の宮本を、互いに意識しはじめたところで、宮本が売れっ子歌手になってしまうというなんとも言えない切ないお話でした。最初は軽い気持ちでみんなで応募したアイドルコンテストをきっかけに、広美もアイドルを目指し始めます。芸能界での恋愛を描いたキラキラした設定は、「NANA」を彷彿させます。
ただし、時代背景として、矢沢さんがファンだった工藤静香っぽい顔立ちの子が多かったり、広美のライバルは聖子ちゃんカットだったり、そこらへんも面白い作品となっています。
マリンブルーの風に抱かれて
- 1990.3第1巻刊行
- 全4巻完結済
- 【初出】りぼん1989,9~ 1991,1
【4巻内同時収録作品】:初出
〈番外編〉そして光の中へ:りぼんオリジナル1991.早春の号
〈番外編〉白い波の彼方に:りぼんオリジナル1990.夏の号
まず、ヒロイン遥の色気とかわいさと…魅力がすごい。|ω・)ヒロインのカリスマだと思います。小学生の頃に、両想いながらも、引き裂かれてしまった遥と亨が海辺で再会するところからはじまります。遥のいとこの一平(遥にゾッコンです。)・遥の親友の智代が絡んだ4角関係がじれったいお話です。亨と一平がサーフィンに打ち込む姿もあり、とにかく眩しいお話となっています。一平がサーフィンでケガをして生死を彷徨うところはとにかく泣けました。遥は親友にとられ、自分はケガをしてしまい、勝手に暴走族とつるみ出したり…なにかとうまくいかない一平サイドのストーリーもみどころです。
天使なんかじゃない
- 1992.5第1巻刊行
- りぼんマスコットコミックス全8巻完結済
(新装再編版は全5巻) - 初出:りぼん1991.9~1994.11
【8巻同時収録作品名】:初出
- いとしのスドーザウルス:1994.りぼん冬休みおたのしみ増刊号
- IN THE TRESURE BOX-宝箱の中に-:1994.りぼん夏休みおたのしみ増刊号
- IN THE TRESURE BOXⅡ-宝箱の中にⅡ-:1995.りぼん冬休みおたのしみ増刊号
高校生の学園恋愛ものです。が、良く読んでみると、良くもこんなにも何人ものやんごとない事情が重なって絡み合うもんだ、というくらい絡み合う、泥沼のようなお話です。
天真爛漫な翠の、教師・マキちゃんへの嫉妬心・嫉妬してしまう自分との葛藤。マミリン・志乃・瀧川も、年季が入ったドロドロ三角関係。etcetc他にも、事件も起こりまくり、とにかく波乱万丈です。
恋愛のドロドロだけでなく、出生や生い立ち、中学生の頃からの確執が関わったり、奥深い泥沼となっています。ですが、全体的にはハッピーなお話なので、子供も安心して読めます。
うすべにの嵐
「うすべにの嵐・空を仰ぐ花」は野球部をやめてしまったばかりの中学生・清が主人公で、熱い野球部の男子達と、その家族の話です。清はリトルリーグの監督だった父親を事故で亡くしています。将来を期待されたピッチャーを兄に持ち、何でも完璧な兄にコンプレックスを抱えていて、うまくいかないことばかり起こります。その家庭の事情だったり、好きな子のことだったり…野球だったり、色々な事に翻弄される青春のお話です。男子が主人公、という矢沢あいさんの漫画では珍しい設定です!
「最後の片思い」は「マリンブルーの風に抱かれて」の続編です。一平と、一平に恋する沙知がメインのお話です。マリブルでは全く報われなかった一平に、春が?というマリブルファンには必見のお話です。
- 1992.8刊行
- 全1巻完結済
- うすべにの嵐/空を仰ぐ花/最後の片思い
【収録作品名】:初出
- うすべにの嵐:りぼん1991.5
- 空を仰ぐ花:りぼんオリジナル1991.夏の号
- 最後の片思い:りぼんオリジナル1992.春の号
ご近所物語
- 1995.10第1巻刊行
- 全7巻完結済
- りぼん1995.2~1997.10
【同時収録作品名】:初出
- ご近所裏物語:1995.りぼん夏休みおたのしみ増刊号(1巻内)
- ご近所裏物語②:1996.りぼん冬休みおたのしみ増刊号(2巻内)
- ご近所物語特別編カラフル:1996.りぼんティーンズ増刊号(5巻内)
- ご近所物語 復活編:1998.りぼんティーンズ新春増刊号(7巻内)
これも、高校生の学園恋愛ものです。デザイナーを目指す実果子、その幼馴染ツトムを軸に、個性豊かなキャラクターたちの恋愛事情と、将来へ向けて葛藤する姿が描かれています。小さい頃から周りに馴染めなかった実果子、それを支えてきたツトムとの恋愛は泣かせます。また、派手系の茉莉子・茉莉子の幼馴染修ちゃん・勇介・歩の4角関係もみどころがありました。
下弦の月
- 1998.12第1巻刊行
- 全3巻完結済
- 初出:りぼん1998.4~1999.6
主人公美月は、彼氏には浮気され、家庭は崩壊中(父親が浮気相手と再婚)というかわいそうな女子高生です。今時のギャルで、ちょっぴりグレています。
一方で、小学生・蛍も、物語の軸となる主人公のような存在です。蛍をはじめとする小学生グループのやりとりがかわいらしく、物語の暗さに歯止めをかけてくれる存在となっています|ω・)蛍は、ある廃屋で、生きていた時のことを忘れてしまった美しい幽霊と出会います。アダムという恋人に執着する、美しい幽霊の悲恋とは?蛍たちの手によって、暴かれていきます。美月と幽霊との関係は、過去世を巻き込んだ壮大なストーリーとなっておりました。ミステリーであり、ホラーであり、ラブストーリーであるという、何重にも楽しめる物語です。展開も作り込まれています。
Paradise Kiss
- 2000.4第1巻刊行
- 全5巻完結済
- 初出:Zipper1999.5~2003.5
個性的なオシャレ系雑誌Zipperに掲載されてました。少し少女漫画の域を逸脱した、今までの矢沢さんとは違う大人寄りのストーリーです。勉強ばかりしてきた有名進学校に通う高校生のゆかりですが、デザイナーの卵の曲者男子と出会い、転落していく様子は刹那的です。ゆかりの親友となる実和子サイドのストーリーも、2人の男の子の幼馴染との三角関係で、かなりこじらせ系のお話です。ちなみに、実和子ちゃんはご近所物語に登場するキャラクターでもあり、たまにご近所のキャラが登場するところも楽しいです。
NANA
こちらの作品は休載中です
- 2000.5第1巻刊行
- 全21巻続刊中(2009.8~休載中)
- クッキー1999.Vol1~2009.2
【同時収録作品名】:初出
- NAOKI-ナオキー:クッキー2003.5別冊まんが(9巻内)
- NOBU-ノブ-:クッキー2006.5別冊まんが(16巻内)
- TAKUMI-タクミー:クッキーフレッシュ’07・平成19年(18巻内)
恋多き普通の女の子奈々と、歌手志望の天涯孤独少女ナナの、ダブル主人公で、二人の友情と、ドロドロ恋愛メインのお話です。とにかく、華やかな芸能界の闇や、恋愛のドロドロをこれでもかというくらい織り込んだドロ沼です。
キャラクター全てが魅力的で、それぞれが泥沼にはまっていく様子は圧巻でもあります。様々な泥沼があります。ナナと奈々もすごいけど、個人的にはAV女優朝海、歌姫レイラあたりも、ドラマチックかつ悲しいですね。後半は更に泥沼へ入っていきます。
個人的に、現実なのか漫画の話なのか?というくらい、(多感な時期から読んでいた話で、作品と一緒に成長してきたような思い入れもあったので)感情移入がありました。
ちなみに、cookieには掲載されたものの、2話ほど単行本未収録の話があります。矢沢さんの復帰を待ってから刊行されるのでしょうか。
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